今回の財務ネットのテーマはダイバーシティです。みなさんはこの言葉を耳にしたことはありますか?日本語に直訳すると「多様性」といった意味を持ち、一般的には、性別や人種、年齢、学歴などの様々な枠組みにおいて、多様性を受け入れ、広く人材を活用しようといったような概念・考え方を表わす言葉として使われています。
人材確保は、少子高齢化が進み人口減少が叫ばれる日本において、非常に重要な課題であり、その中でこの『ダイバーシティ』という考え方は、とても関心の高まっている考え方だと思います。今回はその人材確保という項目について考えていきたいと思います。
~求人募集~
社長のみなさんとの話の中で、ハローワークや求人誌などへ人の募集をかけているが、まったくと言っていいほど応募の連絡がこないと言ったお話を伺います。建設業、製造業、サービス業と業種問わず今は人材不足なのだなということを肌で感じます。そういう当社も求人を出すことがあるのですが、望むような反応はなかなか見られません。
今、人材雇用について、課題を感じていないという会社は少ないのではないでしょうか。お金をかけて求人誌などへ求人を出す。時間をかけて面接などの採用活動を行う。採用後もお金と時間をかけて社員育成を行う。やっと仕事を覚えたというタイミングで、貴重な人材が退社してしまう。人材を定着させるということは、非常に難しいことなのだと感じます。
特に中小零細企業にとっては、貴重な社員が退社するということは企業の存続にもかかわる非常に重要な案件です。貴重な人材を確保し、退社させない為にはどのような取り組みが必要になってくるのでしょうか?
~辞めない社員を採用する~
今や自動運転など自動車業界にも参入する世界的大企業の『グーグル』はとても興味深い人材採用方法を取っています。一般的には採用面接というと、社長はじめ管理職の方々が行い、採用・不採用を決めるということが多いと思います。しかしグーグルでは、採用したい人が入社後に一緒に働くであろう部署の人たちを面接に呼びます。その人たちに『この人と働きたいですか?』と、後で聞くためです。そこでもし、一人でも『イヤだ』と言う人がいると絶対に採用しないそうです。
これは採用の判断ポイントとして、人当たりがいいことを重視しているということと、全員がその採用に関わり、全員がその採用に責任を持つことになるため、『あの上司が連れてきた人』『別に仲良くする必要なんてない』などと言い出す人が生まれない為、長期間働いてくれる可能性が高くなるそうです。確かに自分がその採用に関わったという思いがあった方が、その人に対して関心を持ち、関係を築こうという意識が働くと思います。
~愛着心~
人材の確保とともに大切になってくるのが、人材の流出を防ぐということだと思います。社員が会社に対し愛着を持ち、長く勤めてもらうことで社員個人のスキルも会社としての安定感も増していくと思います。
社員に、会社に対し愛着心を持ってもらうためには、まずは社員のモチベーションや関心がどの分野にあるのかを知ることが大切です。
たとえば企業理念など会社としての指針に対する共感度合いや、自分が担っている仕事の価値ややりがいがモチベーションの維持・向上に大きく影響を及ぼすのか?はたまた、役職や給与といった人事評価面がモチベーション向上に大きく影響を及ぼすのか?また、その項目に関して社員は現状満足しているのか?
会社側が社員のモチベーションを向上させるために行っている取り組みが、社員のモチベーションの向上に影響を及ぼす項目と一致しないと、いくら取り組みを行っても社員のモチベーション向上にはつながりません。会社と社員お互いの思いが一致する取り組みを行うことで、社員の会社への愛着心が高まり、仕事の生産性等の向上も見込め、お互いに良い影響を及ぼします。
インターネットの普及やAIの発達などにより、これからの時代はこれまで以上に早いスピードで社会が変わっていくことが予想されます。その中で時間外労働などを含む長期労働の是正など、会社を経営する側からすると取り組みにくい社会的風潮の変化が今後は増えていくように感じます。時代の変化が必ずしも正しい方向に進むとは思いませんが、時代に沿った企業運営というものにも関心を示さなければ、これからの社会を勝ち抜くのは難しいのかも知れません。多種多様な人材を受け入れ、活躍してもらえる組織づくりをすることが、これからの時代を勝ち抜くひとつの手段になるのではないでしょうか。