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《コラム》固定資産税は気を付けて
◆固定資産税は賦課決定
所得税や法人税は納税者本人が税額を計算し申告して税金を納めます。
それに対し、固定資産税は役所が不動産を一方的に評価して納税額を決め、それを納税者が納めます。
◆固定資産税にはプロがいない
お役所のやることだから間違いはないだろうと思いがちですが、結構間違いは多いのです。その原因は対象不動産に対して圧倒的に評価人員が不足しているということです。東京都の場合、都内に土地は約221万筆、家屋は約160万戸あると言われています。これらを全て実地調査することは不可能と言われています。また、都の職員は都税事務所に就職するのではなく東京都に就職し、職場のローテーションで固定資産税の現場に配属されますが、定年まで固定資産税係ということはなく2~3年で別の部署に配属されますので常に素人集団です。こういった傾向はどの自治体も同じです。
◆まずは納税通知書を見直してください
固定資産税の納税通知書は読みにくいでしょうが、以下のことを確認してください。
(1)土地の所在・家屋の所在、家屋番号
自分のものか確認してください。
(2)登記地目・家屋の種類・用途、構造
現況と異なっていないか?
(3)地積・家屋面積
実際の面積と相違がないか?
ただし、実測をする場合はかなりの費用が掛かります。
(4)価額
住宅用地の場合、評価額と課税標準額は異なります。当然課税標準額の方が小さいはずです(ちなみに住宅用地の場合、住宅1戸につき200㎡までは1/6です)。
◆おや?と思ったら
自治体の窓口に出向いて課税資料を請求してください。
土地なら「土地現況調査票」、家屋なら「再建築評点計算書」「基準年別計算書」(自治体により名称が異なる場合があります)が必ずあるはずです。
明らかにおかしい場合は、「審査申し出」を行ってください。しかし「審査申し出」は原則として3年に1回の基準年度の限られた期間ですので、窓口で「再調査」の依頼をしてみてください、自治体により対応していただける場合もあります。
《コラム》固定資産税評価額 家屋の減価と時価評価
◆家屋の評価替えもあるんですよ
家屋の固定資産税評価額は評価替えされることなく、据え置かれることになっている、と理解している人は多いかと思います。
でも、家屋も3年毎の基準年度とされる年に全国一斉に評価替えされます。今年は新基準年度の年です。
評価替えされるのは、時価課税するとの法律の規定があるからです。
◆税額に直結する家屋の評価額
家屋の固定資産税の課税標準は固定資産税評価額そのものです。その評価額は、各年の1月1日の価格とされ、それは「適正な時価」とされています。
家屋の「適正な時価」とは何か、これについてあまり議論がありません。土地と異なり公示価格のような公的指標がありません。そのため、家屋評価の「適正な時価」概念は曖昧です。
◆「適正な時価」の求め方
固定資産税の一つである償却資産税も時価課税とされていますが、これについては、取得価額から減価償却額を控除した金額を以って時価としています。
土地については、売買実例価格を集約することを原理とする公示価格に基礎を置いています。
木造家屋については、売買実例価格を基礎にしたのでは、急速に無評価化となる実態があるので、これは採用されていません。
家屋の時価評価は、1月1日の時点で、その家屋を、その場に新築し直した場合に必要とされる再建築価格を求め、この価格から経年損耗減価の額を差し引くという方式が採られています。
◆経年減価補正率の適正性は
再建築価格に乗ずる経年減価補正率を見ると、木造の場合、最初の1年経過後の1月1日の時に2割減価し、その後の25年間で6割減価し、その後27年以降は減価させない、としています。もし、1円まで減価償却をするとした場合、最後の償却率を維持したとして、木造の耐用年数は47年、非木造の耐用年数は156年です。
木造27年、非木造45年以降のところで減価処理は0.2で打ち止めとなります。
時価課税という法律規定の原理を支える適正時価の評価方式は果たしてこれでよいのか、疑問です。
記事提供者:ゆりかご倶楽部